東京マラソン2025を翌日に控えた3月1日、マドレボニータのチャリティランナーとして出走された方をゲストにお招きし、Instagramライブを実施しました。
事前にご回答いただいた内容や、当日の様子を元に開催レポートをお届けいたします。
(以下敬称略)
>>前編はこちらから

北澤:では次の質問は知穂さんとJaneさんにお聞きします。
【Q3】アメリカでは出産後も活躍されているアスリートがたくさんいますが、日本にはあまりいません。どんな違いがあると思いますか?
Jane, please share your thoughts after Chiho.
In the U.S., there are many athletes who continue to excel after childbirth, while in
Japan, there are fewer. What do you think are the differences?
知穂:日本では少なくとも産後女性がいつどのように休んで、どれくらいから復帰して、どういうプロセスを経ていけば産前と同様もしくはそれ以上の身体作りをしていけるかという模範解答がない気がしている。もちろん、それを実現するための周りのサポート体制も不十分だと思う。得られづらい文化や環境が根底にあるような気がする。我々一般市民ランナーでも自分のことは二の次三の次になりがち。マドレボニータの産後ケア教室に私はたまたま出会えて、そこからだんだん産後に走れるようになったのはありがたかったけれど、そのようなものがあるということにもなかなかリーチできていない。パートナーや家族のみならず、所属している組織や地域や民間のサポート総動員使っても自分の身体を作り上げていくことに遠慮しなくていいような社会になったらいいなと思うし、その一助になるマドレボニータの産後ケア教室が多くの人に届けばいいなという思いもあって、今回チャリティランナーにエントリーしました。
北澤:ありがとうございます。本当ですね。教室をもっと皆さんに知ってほしい!というのもそうですし、皆さんのように子どもを持ってもランナーとして活躍して、自分と向き合いながら走っているという方がいるということを知っていただくことも、いろんな方に影響があると思います。ありがとうございます。
Jane:I have a couple of thoughts about that. One is that it might look like we're doing better here, but it might not be real. There's a lot of social media that gives this expectation for women that you're supposed to really have it together post-childbirth, and a lot of women are good at pretending that, and it may be that, and it may not be. It might look that way. So I don't know how true that is. I think for me personally, having access to child care was huge.
So having a certain amount of income so that you can afford child care or having people who can share that, share the, you know, you can hand your kids off to my, I handed my kids off to my mother a lot. I need a half-hour run or whatever, and I had a partner who was also a runner. That was huge. That was absolutely huge. So, you know, he could go run for a couple hours. I could go run for a couple hours, and that was good for a lot of reasons. But I think that that's, and I've heard about women who network with each other, you know, hand the kids off to a friend while you get to run. So there's a lot of things that I don't know if it's entirely true because there's a lot of social pressures here that we're supposed to like really have it together. You're supposed to bounce back exactly after having children and look like you did before you had kids. I don't, yeah, some of that is not actually happening. So we just, we can tell a good story.
(いくつか思うところがあります。まず、一見アメリカの女性が出産後にうまくやっているように見えるかもしれませんが、それが本当に現実かどうかはわかりません。というのも、SNSの影響が大きくて、「出産後もうまくやらなければならない」というプレッシャーがあるんです。だから、多くの女性が「完璧にやれているように見せる」ことが上手なだけかもしれません。実際にはどうなのか、真実はわからない部分もあります。
私自身の経験で言えば、やはり「子どもを預けられる環境」があることがとても大きかったです。
一定の収入があって保育サービスを利用できるとか、家族や周囲の人と子育てをシェアできることですね。私は母によく子どもを預けました。「30分だけ走りたい!」というときにも助けてもらいましたし、パートナーもランナーだったので、それがすごく大きかったですね。彼が数時間走りに行って、次は私が走りに行く、というふうにお互いの時間を作ることができました。これは精神的にも肉体的にも本当に助けになりました。
また、女性同士でネットワークを作って、お互いに子どもを預け合うという話も聞いたことがあります。そういう意味では、サポートの仕組みがあるのは確かです。
ただ、やっぱりアメリカには「出産後すぐに元通りになるべき」「子どもを産む前と同じように見えなければならない」といった社会的なプレッシャーも強くて、実際にはそうなっていないことも多いんです。でも、そういう「うまくいっている話」を伝えるのは上手なのかもしれませんね。)
北澤:ありがとうございました。本当に、子どもを預けられる環境があるかどうかは、大きな成功の鍵ですよね。
Thank you for sharing! 次の質問はMarieさんにお聞きします。
【Q4】今、ご自身が走れるのはなぜだと思う?
Next question, Marie, please answer.
Why do you think you are able to run now?
Marie:Running to me is a stress reliever. I run a company, a construction company, with men. And so it is a stress reliever. I think it makes me, I think it makes you a better person. I mean, it gives you time to get out there and really just air out. And then you run with all these women and all, you know, and friends, and it's just so much fun. That's why. Thank you. So interesting.
(私にとってランニングはストレス解消の手段です。私は建設会社を経営していて、働くのは男性ばかり。だからこそ、ランニングがストレス解消になります。ランニングは、自分をより良い人間にしてくれると思います。外に出て、心を解放する時間を持てるんです。そして、たくさんの女性や友人たちと一緒に走るのは本当に楽しい。それが理由ですね。)
北澤:Marieさんは男性の多い職場で働かれていて、結構ストレスが溜まっていると。女性の仲間たちと走ることですごく癒されるという興味深い回答をありがとうございます。
Thank you for sharing! 次の質問は知穂さんとMarieさんにお聞きします。
【Q5】産後、走りたいのに走れないというモヤモヤはあったか?あれば、それをどう乗り越えた(工夫した)のか
Marie, the next question is for you again.Please answer after Chiho.
Did you ever feel frustrated about wanting to run but being unable to after childbirth? If so, how did you overcome or manage it?
知穂:産後に職場復帰してからは、昼休みに走っていたんですが、そうじゃない時には、時間を調整することが非常に難しくて。どうして夫は自由に外出できるのに自分はこんなにもいっぱい調整が必要なのかというモヤモヤはあった。そこで、同じような立場で、走りたいけれど走れないという人たちで集まって、子どもを見守り合いながら走る試みをしてみたり。いつでも駆け込めるママさんランナーのための託児所を作ろう、そのために保育士の資格をとろう、と思い立ってからは、その夢に向かっての勉強や行動が乗り越える原動力になりました。そうしているうちに子ども達は大きくなって、走れる時間も増えていきました。
Marie:I started renting after my son was born, my youngest at 25. I've always managed to get some renting in. I'm an early bird, so I get a very early, you know, and I'm usually out in the streets like between 4 or 5 in the morning, and so that helps to get it done early so you're not out there after lunch or after work when the kids and everything else is going bad. You know, and I had, like, I was married to a military guy, so he was always running, and then as I've gotten, you know, older now, I have friends that I can count on to running with me at that early, right? I think my running success is because I get up early and get it done earlier
before everybody's out, because even in the afternoon or at lunch, it's not going to happen. Thank you, so that's really important to make me time.
(息子が生まれた後、25歳のときにランニングを始めました。それ以来、ずっと走る時間を確保してきました。私は朝型なので、とても早起きして、だいたい朝の4時か5時には外に出て走っています。そうすることで、昼食後や仕事の後、子どもやほかのことが大変になる前に走り終えることができるんです。それに、私は軍に所属していた夫と結婚していたので、彼もいつも走っていました。そして、年齢を重ねるにつれて、今では同じように早朝に一緒に走れる友人たちがいます。
私がランニングを続けられているのは、早起きして誰も起きる前に走り終えてしまうからだと思います。午後や昼休みに走ろうとしても、結局できないことが多いですからね。)
北澤:Thank you. 次の質問は、今のお答えにもつながってくるんですが・・・
【Q6】時間をどう捻出したか(例えば、ちほさんは親子同士で集まって相互に子どもを見ながら走ったと仰ってました。そんな感じで、走る時は誰が子どもを見ているか(パートナーorその他の家族orシッターさんor走る仲間で相互に)とか、走る時間帯の工夫を聞いてみたいです ということで、Janeさんにお聞きしてみます。
I'll ask Jane the next question.
How did you make time for running? (For example, Chiho mentioned that she and
other parents took turns watching each other's children while running. In that sense, I'd like to know who watches your child when you run—your partner, family, a sitter, or running friends taking turns? Also, what time of day do you usually run?
Jane:When my girls were little, I was lucky to have a partner who was also a runner. So we would just decide who got what shift for running. And frequently, he would take the super late shifts. So I would take the after work dinner shifts for running, and then I would stay home and get the kids to bed, and he would be out super, super late for his run. But I also learned to embrace running any time of day. Get a headlamp, go to weird places. I actually really like running in the dark because it's pretty peaceful, and my neighborhood is great for running in
the dark. And I would go to very strange places to run in the dark, and I get left alone. If you run in the cold and you have the right outfit, you can run anywhere, any time of day. So that helped, just learning to embrace any time of day to do it. But also, I think my mother also was very helpful, so I could throw the kids with her Saturday night. So the long runs were particularly hard because that's a big chunk of time, right? So I would have her take the kids Saturday night, and then I would pick them up at noon on Sunday, so I could get a long,long, long run on Sunday morning. And then you'd pick them up and nap for the rest of the day.
北澤:So did you run through the night?
Jane:Saturday night? I could. I could run Saturday night. Oftentimes we would go out for dinner Saturday night and then get up early Sunday morning and go run. When I was training for Ironman as well, that was how I would do it. I'd do long runs and long rides on Sunday morning. Thank you. Thank you so much. That's amazing.
(娘たちが小さい頃、幸運にもパートナーもランナーでした。だから、どちらがどの時間帯に走るかを決めて、お互いに調整していました。彼はよく夜遅い時間に走ってくれたので、私は仕事の後、夕食後の時間に走っていました。その後、私が家で子どもたちを寝かしつけている間に、彼はとても遅い時間に走りに出ていました。
でも、私はどんな時間帯でも走れるようになることを学びました。ヘッドランプをつけて、ちょっと変わった場所へ行くこともありました。実は暗闇の中で走るのが結構好きなんです。とても静かだし、私の住んでいる地域は夜のランニングにも適しています。夜遅くにちょっと変わった場所で走ることもありましたが、誰にも邪魔されずに済みました。寒い日でも適切な服装さえすれば、どこでも、どんな時間帯でも走れるんです。そうやって、どんな時間でも走れるようになることが大きな助けになりました。
それから、母のサポートもとても助かりました。例えば、土曜の夜に子どもたちを預かってもらっていました。ロングランは特に時間がかかるので、母に子どもを預けて、日曜の正午までに迎えに行くようにしていました。そうすると、日曜の朝に思い切り長距離を走ることができたんです。そして、子どもを迎えに行った後は、そのまま昼寝するという流れでした。
北澤:夜通し走ったことはありますか?
Jane:(そうですね、土曜の夜に走ることもできました。よく、土曜の夜に外食して、そのまま日曜の朝早く起きて走りに行く、ということをしていました。アイアンマンのトレーニングをしていたときも、日曜の朝にロングランやロングライドをしていました。)
北澤:Thank you so much for sharing. Your stories really remind me of our tagline: “Being a mother, Being a runner – You are not alone.”
ランナーであるパートナーと交代でとか、他の親たちとつながりを作り協力しあって子どもたちを見守りながら走ることが大切というお話し、今回のスローガンの「母であることも走ることもひとりじゃない」に通じることですよね。それを皆さんからお聞きできて嬉しかったです。
では、最後に皆さんにお聞きします。
【Q7】東京マラソン2025への目標と意気込みを教えてください。知穂さんからお願いします。
One last question for you all! What are your goals and aspirations for the 2025 Tokyo Marathon? I’d love to hear from everyone!
知穂:3度目の東京マラソンとなります。1回目はすごく雨が降っていて、途中でやめちゃった。2回目は産後の初めてのフルマラソン。それから12、13年が経って、また違う更年期とかそういうタイミングで、滅多に走れない貴重な大会、しかもマドレのチャリティランナーとして全コースの景色を目に焼き付けるつもりで、応援もたくさん受け止めつつ、自分のペースを見失わず、37k以降に余力をもって笑顔でフィニッシュしたいです。朝のコンディションを感じて、楽しみながら走りたいです。
Jane:Goals for Tokyo Marathon, so it's amazing to be here. I feel so intensely lucky to be able to participate in this marathon, so tomorrow's like just gonna be an expression of gratitude, like, oh my god, I can't believe I'm here. I trained for this and I don't run a lot of marathons for speed, per se, so I've done a lot of ultra, which is a very different kind of running. It's just getting a long distance for fun, so this has been a very different training cycle for me. Tomorrow's kind of a test of how that went and how my body holds up. You know, I'm getting older. Every year's a new challenge. Jet lag's a whole challenge by itself, so I'm looking forward to just a long tour of Tokyo on foot.
(ここにいられることが本当に素晴らしくて、信じられないほど幸運だと感じています。だから、明日はただただ感謝の気持ちを表す一日になると思います。「本当にここにいるなんて信じられない!」という気持ちでいっぱいです。
このためにトレーニングを積んできましたが、私は普段、スピードを意識したマラソンはあまり走りません。これまでウルトラマラソンを多く経験してきましたが、それはまた全く違うスタイルのランニングで、ただ長い距離を楽しむようなものです。だから、今回のトレーニングは私にとってこれまでと全く異なるものでした。明日はその成果がどうだったのか、そして自分の体がどれだけ耐えられるのかを試す機会です。年齢を重ねるごとに新しい挑戦になりますし、時差ボケだけでも大きな課題ですよね。でも、東京の街を走って巡る長いツアーになるのを楽しみにしています。)
Marie:It's an experience that you come out here and the cultural, the people, the food, I mean, just to understand how come everybody comes to visit Tokyo always wants to come back. I mean, it's so well spoken of, the people and stuff. But I'm honored to come out here and being able to run the Tokyo Marathon. I mean, Yuki and then Monte Bonita. I mean, it is like something that we just could not ask for. I mean, we've been planning this for a long time. And so this is like, it's something that's come true to us. Thank you, Miyuki. Thank you, and thank you, MadreBonita. I know, right? Thank you. Yes, it is an honor. it really is.
(こうして東京に来て、文化、人々、食べ物を体験できること、そして「なぜ東京を訪れた人はみんなまた戻ってきたくなるのか」を理解できること、それ自体が素晴らしい経験です。東京のことは本当によく話題になりますし、人々も素晴らしいですよね。
そして、東京マラソン2025を走ることができることは、本当に光栄です。ミユキ、そしてマドレボニータのおかげで、私たちはここに来ることができました。こんな経験は願ってもなかなかできるものではなく、長い間計画してきたことがついに実現しました。ありがとう、ミユキ!ありがとう、マドレボニータ!本当に感謝しています。これはまさに名誉なことです。)
miyuki:私は特に大きなゴールというわけではないんですけど、今回マラソン5本目になります。なぜか毎年日本に帰るたびに、フルマラソンを走るようになっていて。毎回走り終わるたびに「2度とやらない!」と言っているんですが、今回も42キロを完走できる体力が維持できていると確認したいです。
山本:みなさん、どうも、ありがとうございました!いよいよ明日は、東京マラソン2025当日になります。今日も真っ青な空ですが、明日も20°Cを超えるとの予想になっています。20°Cを超えるのは、東京マラソンが始まって以来、初めてのことだそうで、かなり暑くなることが予想されます。なので、ランナーの皆さまはどうぞ気をつけて、でも楽しんで走ってください。マドレボニータでも、24キロの門前仲町と、38キロの三田で、沿道応援団を組んで応援します。会場に来られない方も、ぜひSNS等で応援してくださいね。
では、以上でインスタライブを終了します。
ご視聴ありがとうございました。

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お話しを伺い、子育てしながらランナーとして走り続ける皆さんの原動力はやはり友人やパートナーなど、走る「仲間」の存在であり、さらに自分が心地よいこと、やりたいことを自分のペースで追い求めていくことが大切なのだなと感じました。
私たちマドレボニータも、出産を機に、子育てする仲間を作ること、体力を回復させること、そして自分の思いに向き合うことを産後ケアプログラムを通して伝えています。
今回ボランティアとして関わってくださった産後ケア教室卒業生の中にもランナーさんが複数いらっしゃり、私たちの活動が出産後に体を動かす喜びに目覚めたり、思い出すきっかけになればと改めて実感しました。
お忙しい中ご出演くださったチャリティランナーの知穂さん、Janeさん、Marieさん、みゆきさん、本当にありがとうございました!
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